イレギュラーなクマノミ(1匹3万?) [ダイビング]
上の画像は、ご存知のように、“オーロラ”ですね。
最近ネットのニュースで見て、懐かしくて取り込みました。
ちょうど今から40年くらい前ですか、私、北欧のある国に住んでいました。
そして、仕事帰りに時々、夜空にオーロラを見ました。
“オーロラ”というと、何か非常に珍しく、かつロマンチックで感動的なイメージですが、当時は『変な雲だな~』てな感じで、眺めていたことを思い出します。
まぁ状況が状況というか、全く写真のような雪道なのですが、仕事帰りの家路でした。
凍えないように、急ぎ歩きして見ていましたので、そんなもんでしょう。
仮に、妖精のような北欧美人でも隣りに居れば、確実に、ひと味違ったと思います。
さて、我らダイバーにとって、『非常に珍しい魚』を見るというのも、憧れというかちょっと威張れそうな、その後何十回も話のタネにできそうな、ワクワクすることですね。
これなんかどうですか?
(一部拡大)
“セジロクマノミ”です。
ですが、エラブタのところに背中からアゴにかけて、やはり背中の線と同じ白線が入っているんです。
念のため申し上げますと、ハナビラクマノミと同じような柄ですが、魚体、体色、顔つき、線の太さが明らかにセジロです。
またハナビラの背中とエラブタの線は、通常、繋がってはいません、切れています。
ウチの近くの海は、クマノミが多いフィリピンでも特にゴチャマンといる『クマノミ天国』なのですが、この手のセジロは初めて見ました。
よくある変形クマノミは、カクレやハナビラで見かける白い点が余計についているタイプですが、セジロのこういうイレギュラーバージョンは見たことも聞いたこともないです。
この写真をものにしたのは、渋谷のいつもお世話になっている石田様率いる“ダイビングチームサム”のメンバー、西尾様です。
http://team-sam.jugem.jp/?month=201212
(写真登載の許可は御大の石田様から頂きました。そういえば石田さん、ついででなんですが、記事下の『ギンガメ100匹』は1,000匹の間違いでは・・・・もうひとつ『T2ゆらり』も勘弁してください、『ゆかり』です。)
去年12月の台風より前のツアーだったので、この個体は、今はもう行方知れずかもしれません。
だとすると、この写真の希少性がさらに増すわけです。
西尾様は、このセジロの話をお仲間に、もうサンザンしているのではないかと思うのですが、発見場所はウチの近くですので、私も今度機会があったら探しに行きたいですね。
このセジロクマノミを確保して子を産ませれば、同じ変異が何匹か採れるかも・・・・
それをさらに掛け合わせて、イレギュラーを沢山作り増やし・・・・・
ペットショップに売って、大もうけする・・・・
めでたく、パノラマルームの建設資金が出来るという算段です。
『冗談だろ~ぉ』って、これ(↓)見てくださいな。
http://www.umibose.com/onlineshop/products/detail.php?product_id=50
http://www.umibose.com/onlineshop/products/detail.php?product_id=49
普通でも、セジロクマノミはこれぐらいするのです。
上の写真のような“イレギュラーバージョン”なら、いくらすると思いますか~?
まあ、一匹3万は下らないでしょう。
笑いが止まらなくなりますよ。
(・・・・・・・・・・・・)
話が下世話な方向に流れましたので、このへんで止めておきますが、ダイバーの皆さん、
『ケッ、またクマノミかよ~』
とかユメユメ思わないように、魚を見る目を養ってくださいね。
それから西尾さん、この写真は大いに自慢してください。
アミハン真っ盛りでダイビング=オフシーズン [ダイビング]
今朝のウチの日の出です。
最近のパターンとして、海から昇った日が、すぐに遠くの雲に隠れることが多いですね。
こちらはその4時間後。
あっという間に、アミハン(北東の冬の季節風)が吹き、海は荒れ始めました。
すでに沖は波高1m以上、風速8~12mほどでしょうから、ダイビング用のバンカーボートはもともと波を切れない構造ですので、航行は難儀です。
ジンベイウオッチングは、午前中早く終わりますのでアミハンの影響はあまり受けないのですが、他のファンダイブはアミハンが強いと困ります。
今年、日本も例年になく寒いようですが、こちらも今期は早めにアミハンが吹き始め、じゃ、例年より早めに終わるのかというと、どうやらそうでもなさそうです。
いつも通り、4月まで続きそうな気がいたします。
ひとつの可能性として、もし日本列島に早めに春が来れば、こちらセブ南東海岸のアミハンも早めに終わると思います。
ダイビングは遠出が難しくなり最悪の季節です。
アミハンが吹いても潜れるのは、スミロン、バリカサグ、アポなどの島の風波の当たらぬ〔南⇔西〕側沿岸か、セブ島沿岸で言えば、〔南⇔西〕に開いたビーチぐらいです。
もっともアミハンも毎日必ず吹くわけではないので、これから4月までに来るダイバーのお客様でも、運良く遠征で凪いだ海に当たることもあります。
しかしこのアミハン、陸にいるかぎりは非常に快適な『島風』です。
5月にアミハンが収まりダイビングシーズンが始まれば、逆に陸は猛暑(=夏)となります。
うまく出来ています。
白黒つける!(ウミウサギ) [ダイビング]
リゾートダイバーの方にはお馴染みの“ウミウサギ貝”ですね。
タカラガイの仲間です。
この前、ウチのハウスリーフを調査で潜ったとき撮りました。
(この辺りでは、そんなに珍しい貝ではありません。)
真っ黒にわずかに金砂をまぶしたような外観です。
これは大きさ8センチくらい。
何しているかというと、ソフトコーラルを食べている、つまり食事中です。
下にあるネギ?風なものが、食べ物のソフトコーラルです。
私はあまり食べたいとは思いませんが、ウミウサギにとっては美味いのでしょう。
この貝は黒いわけではなく、この黒い色は外套膜です。
普段は外套膜で身体を包んでいるんですね。
『ハダカじゃ、恥ずかしい』という羞恥心です。
そう思うと、見てみたくなるでしょう。
お見せしましょう。
水中で指で剥いてみました。
完全にスッパダカです。
それにしても、ゆで卵のようですが、ゆで卵よりもずっと真っ白です。
とてもきれいな白です。
思い出しますね・・・
子供の頃の私を・・・
やんごとなき血筋?は隠しようもなく、ウミウサギのように真っ白でした。
今じゃ、日焼け→シミ残→日焼け→シミ残→日焼け→シミ残・・・・・・
この果てしない繰り返しで、我ながら無残でございます。
誰も信じてくれない・・・・
奥様Mの『水中幽霊』話と、私の「元は色白」話
海がちょっと荒れています [ダイビング]
T2の中から北側を撮りました。
アップです。
画像では見えませんが、ビーチで5~10mの季節風が吹いていて、沖は波高1mくらいです。
(私ヨットを少しかじり、ウインドサーフィンも7年していましたので、風と海況は普通の人よりは分かります。)
この海況は、日本のFRP船や鋼鉄の船ですと、ど~って事はありません。
しかし、フィリピンの木とベニヤで出来たダブルアウトリガー船(エンジンは日本のジャンクのバス用またはトラック用)では、やや厳しい海況です。
今日は27日火曜日ですが、先週、金・土・日の3日間、お客様に来ていただいてダイビングがありました。
3日間連続で海が荒れましたが、どうにか予定のダイビングはこなせました。
責任者として、心中穏やかではなかったのですが、ひとまずホッといたしました。
昨日の月曜日は、ずっと穏やかになりましたが、お客様はなし。
(まあこれはいつものパターンです。)
で本日、またちょっと荒れています。
『セブは1年中潜れる』という人がいます。
確かに“そこに海があれば”潜れますから、あえて否定は致しません。
ですが、ルソンで言えば〈乾期〉のこれからの時期、セブも陸は快適ですが、海は〈季節風アミハン〉で荒れる確率が上がります。
海が荒れれば、船酔いしたり、エントリー&エキジットで嫌な思いをするお客様がでてきます。
船が波でスピードが出せなくなり、行き帰りに時間がかかります。
乗っていて揺れるし、波しぶきをかぶり不快な思いをします。
潜れるポイントが制限されます。
お客様は、ネットの衛星画像を見て、『台風がない、雲がない』と喜ぶかもしれませんが、そういう時に、季節風は強まることが多いのです。
勿論、穏やかな日がないわけではありませんが、マニラ新聞によれば、昨日バタンガスで韓国人6人とボートマン2人を乗せた船が沈みました。
幸い全員救助されたようですが、私がバタンガスで潜っていた頃も、船が沈むのはだいたい年初からの季節風の時期でした。
例年ですと、季節風のピークは2月以降4月までなのですが、今年は、この季節風が早めに吹いてきています。
そのぶん早めに終わってくれれば、ありがたいことです。
バリカサグでマンタ [ダイビング]
しばらく続いた季節はずれのアミハンも、一昨日辺り峠を越したようで、昨日ウチ(T2ゆかり)はバリカサグ島へ船を出しました。
朝、出航のお見送りです。
大潮の干潮で海が少し遠いです。
真正面の太陽が眩しい~。
T2からバリカサグ島は凪なら50分ですが、昨日は波けがあり、1時間チョイかかったようです。
そして珍しいことにマンタが出ました。
参考画像です。
バリカサグ島は、旺盛なサンゴと多彩な魚種・魚群で、ビサヤエリアでも1.2を争うダイブサイトです。
しかし、目玉は、ギンガメアジの群れとバラクーダの群れであり、ここでマンタを見ることは稀有なことです。
バリカサグで3本潜って、午後3時、T2ご帰還でございます。
ジンベイとマンタ、オスロブのジンベイはいつでも見れるとして、バリカサグのマンタは、松戸のY様、さいたま市のS様、大変ラッキーでした。
ハウスリーフにオニヒトデ [ダイビング]
昨日の画像です。
時期的にやや早すぎるアミハン(北⇔東の季節風)が吹き、海は荒れました。
今朝です。
昨日より少し良くなりました。
午前中、ウチの前、ハウスリーフを水中散歩いたしました。
潜ってしまえば、水面の波は関係なく、濁りも思ったほどでなくいつものハウスリーフでした。
珍しくオニヒトデがいましたね。
大きさ25センチくらいの普通サイズです。
ウチの前では、3年間で2~3度見かけています。
オニヒトデは、ご存知のようにサンゴを好んで食べる嫌われ者です。
切り刻んでも増えるだけと言う通説がありまして、無駄と知りつつ、小憎らしいので、いちおう指示棒で穴だらけにしました。
そもそも、ウチの前の海は、足の踏み場もないほどサンゴが有るわけでもないので、このオニヒトデはよほど変わり者なのでしょう。
もっとサンゴだらけの場所に行けばいいのに・・・・
セブは1年中潜れるのか? [ダイビング]
“ジンベイのふるさと・オスロブ”の“T2ゆかり”です。
ご近所のジンベイ海岸では、毎日ジンベイが群れています。
ユミちゃんのブログ(↓)でも、けっこうジンベイ記事多いですね。
http://ameblo.jp/ysgysgysg/
ジンベイは、餌となる天然プランクトン(アミエビ)が増えてくる、これからが最盛期を迎えます。
さて、『突然』と言う言葉が使えるでしょうか。
昨日、今日とアミハンが吹きました。
(アミハンとは北寄りの季節風で、少なくともセブ島東海岸では、アミハンが強いと海が荒れます。)
今シーズン初、“春一番”ならぬ“アミハン一番”と言えます。
よく “セブは1年中潜れる!”なんて宣伝(豪語)するダイブショップを見かけますが、私はちょっと疑問を感じます。
まあお客様のほうでも、ダイビングは海と言う大自然をフィールドとする遊びですから、いつもグッドコンディションとは思っていないでしょうけどね。
私はセブに10年(フィリピンと言うことなら16年)いますが、過去の経験で、アミハンが吹くと予定の遠出に行けずに、引き返すことが少なくありません。
確かに『風が強く海が荒れても、潜れるポイントもある』ということなら、先のうたい文句は正しいのかも知れませんが・・・・。
どうなんでしょうね。
ちなみに、その年にもよりますが、アミハンが強く吹くのは2月・3月です。
ただし、12月や4月でも時々はあります。
そこらあたりは人知の及ばないことです。
奇妙にもほぼ一致するのは、アミハンは、毎年人々の頭がクリスマスで一杯になる頃に吹き始め、ホーリーウイーク(聖週間)に終わる・・・そんな気がします。
下の画像は、前シーズンで一番アミハンの強かった日です。
台風ではありません。
“アミハン”です。
超ラクチン?ダイブ [ダイビング]
3日前のダイビングスタートの風景。
ウチの前から、船に乗ってジンベイ海岸とスミロン島でした。
台風21号の影響で空はドンヨリしていました。
今年は、やはり“台風の当たり年”と言ってイイんじゃないでしょうか。
此処、セブ島・オスロブは台風はど~ってことは無いのですが、ルソン島や沖縄方面などにお住まいの方々はつらいですね。
この21号、北上しても動きが遅いですね。
さて、上の画像は昨日の朝です。
満潮で、T2の海ゲートの下まで潮が来ていました。
客室からは12歩でゲート、ゲートからは3歩で海でした。
『超ラクチンビーチダイブ』です。
ビーチは、白いサンゴ砂と石灰質の小石ですので、波打ち際はたまに白く濁ります。
海底に大きな岩は無いし、ウチの前は流れもほとんど無いので、ストレスと無縁でビーチダイブできます。
写真で切れて分かりにくいですが、今の時期はスロープの右側が砂が高く、左が砂が低くなっています。
お客様とユミちゃんが入ってしばらくすると潮が変わり、波打ち際のニゴリもとれました。
ただし、超ラクチンは『波が無いときは』ですけどね。
波がある時は、それなりにエントリー&エキジットにはスキルを必要とします。
さて、ハウスリーフの新顔をひとつ、ご紹介いたします。
コガネハゼまたはギンガハゼのイエローバージョン。
通名はそんな名前のハゼです。
私的には、背びれのカタチが少し違うように思うのですが、ま、いいでしょ。
先日見つけました。
スロープの前チョイ右側深度20m、数個体います。
ところでウチ“T2ゆかり”では、スタッフ募集しています。
http://www.t2yukari.com/
興味のある方は、上のホームページ内のメールアドレスにお問い合わせ下さい。
結婚指輪・エピソード1 [ダイビング]
ずいぶん前のこと。
場所はタイのプーケット、ドイツ人経営のダイブクルーズで欧米人客相手にガイドしていました。
ダイブ終了間際、流されながら中層でフロートを上げました。
水深(海底深度)は約40m、我々の深度は10mでした。
欧米系によくある、グループごとに適当な所でフロートを上げ、船に拾ってもらうダイビングスタイルです。
プーケットはダイブサイトによっては混み合って、上をダイバーピックアップの船がバンバン通ることがあるので、私は安全のために深めからフロートを上げる習慣―――通常は安全停止(5m位)だと思いますが―――にしていました。
実際プーケットでは、ダイバーが水面で自分の船や他船に轢かれる事故が、毎年何件も起きています。
ダイバーが30人も乗れる大型船ですから、水面をワッチするボートマンと操船するキャプテンの連係が悪いと事故につながるのです。
そんなわけで、私は船と自分のゲストの注意を喚起するため、長さ1.8メートルの《特大フロート》をいつも早めに上げていました。
さて、その日その時、フロートが『ピューッ』と水面を目指し、『OK』と思ったら、細引きがピンと張らないで漂っている。
「ぁちゃ~!」
細引きとフロートの結び目が外れたようです。
漂う細引きが、お客さんの器材・身体に絡むと厄介なので、私は急いで10数メートルを左手に巻き取りました。
さてそれからです。
お客さんの中には、何が起きたか分かっていないビギナーも居れば、お見通しで成り行きを見物している上級ダイバーもいます。
お客さんダイバー(確か5人でした)を私の周りに集めました。
そこであらためて水面をみても、風波がかなりあり、透視度も悪く、私のフロートは見当たりません。
水深5mまで上がり、安全停止の3分間、私はある方向にお客さんを誘導しながら泳いでいました。
ドンピシャでした。
ちょうど3分ほど経ったところで、水面に寝ている自分のフロートを発見!
フロートの真下まで来てから、何事もなかったかのように、全員でフロートに浮上し回収しました。
その日はあと1本潜って帰港。
帰路、ドイツ人のお客さんダイバー(その日のお客さんの中では、一番上手い人でした)が、『サインくれ』と言ってログブックを持ってきました。
欧米人ダイバーは、自分でログを書いてから、ガイドにサインを貰うというスタイルの人が多いです。
その時に『あの魚の名前は?』とか、聞かれることもありましたが、ログはどうせ何かいてあるか読めないし、サインだけしていました。
彼が言いました。
(英語が母国語じゃないので、このドイツ人の英語は聞き取りやすかったです。たいていのアメリカ人、イギリス人は相手の英語力に関係なく英語でまくし立てるので、聞き取りにくいし『頭が弱いのか?』と思います。)
『今日のダイブで、ひとつだけ分からない、聞きたいことがあるんだけど・・・』
「なんだい?」
『君はなぜ、フロートのある場所がわかったんだ?』
「俺はこう見えても年だ。あんたが生まれる前から海に入っている。」
『What do you mean by that? (だから?それがどうした?)』
「下から水面を見て、風向きと波の高さと方向をチェック、海中の潮の流れを計算して、フロートの流れる向きと距離を推測して、ただそっちに行っただけだよ。」
『I see. (なるほどね。)』
そのじつ、私は私なりに必死でした。
理由は二つ。
ひとつは、当時私はしがない“日雇いガイド”でした。
カッコよく言えば、“フリーランスのダイビングインストラクター”ですが、夢と現実の差、狭いアパートと1日1.5食?の暮らしでして、商売道具のフロートひとつ買うのも大変でした。
もうひとつは“プロの意地”です。
“日本人の矜持”と言ってもいいですが、日本男児たるもの、白人のダイバーなんかにナメられる訳にはいかないのです。
もし私があそこでフロートを失くしていたら、彼らの夜の酒の席に、新たな《白人優位、アジア人劣等ネタ話》を提供することになります。
『今日の日本人ガイドだけどさぁ~』
『イントラとか日本人とか言ったって、しょせんイエローだからね~』
大袈裟に言えば、それは国辱ものです。
外国でガンバル、全ての日本人に迷惑が掛かります。
なんて偉そうに書いていますが、その時、私は同時に“痛恨のエラー”をしていたのでした。
お客さんを船に上げながら、水面でフロートの空気を抜いて船に投げ込み、左手に巻き付けた細引きをグワッと引き抜き、それも船に投げ込みました。
その時、左手に“イヤ~な感触”がありました。
???????・・・・・・・
ロープと一緒に薬指の“結婚指輪”が抜けちゃったのです。
動作の流れでロープを船に投げ込み、「アレッ」と思い、左手を見て有るべきところに無い指輪に気が付いた時は、すでに遅し。
アンダマン海の海底深く、指輪は消えたのでした。
もともと少し弛めになっていたリングだったので、取れちゃいました。
ゴールドとホワイトゴールドのコンビネーションのそこそこの指輪でしたが、金額より、『結婚指輪を失くした』ことが悔やまれます。
もちろん、船の上ではくやしくて誰にも話しませんでしたが、その夜帰って、奥様Mに申告しました。
予想通り、奥様Mは怒り心頭で、私は折檻されました。
場所はタイのプーケット、ドイツ人経営のダイブクルーズで欧米人客相手にガイドしていました。
ダイブ終了間際、流されながら中層でフロートを上げました。
水深(海底深度)は約40m、我々の深度は10mでした。
欧米系によくある、グループごとに適当な所でフロートを上げ、船に拾ってもらうダイビングスタイルです。
プーケットはダイブサイトによっては混み合って、上をダイバーピックアップの船がバンバン通ることがあるので、私は安全のために深めからフロートを上げる習慣―――通常は安全停止(5m位)だと思いますが―――にしていました。
実際プーケットでは、ダイバーが水面で自分の船や他船に轢かれる事故が、毎年何件も起きています。
ダイバーが30人も乗れる大型船ですから、水面をワッチするボートマンと操船するキャプテンの連係が悪いと事故につながるのです。
そんなわけで、私は船と自分のゲストの注意を喚起するため、長さ1.8メートルの《特大フロート》をいつも早めに上げていました。
さて、その日その時、フロートが『ピューッ』と水面を目指し、『OK』と思ったら、細引きがピンと張らないで漂っている。
「ぁちゃ~!」
細引きとフロートの結び目が外れたようです。
漂う細引きが、お客さんの器材・身体に絡むと厄介なので、私は急いで10数メートルを左手に巻き取りました。
さてそれからです。
お客さんの中には、何が起きたか分かっていないビギナーも居れば、お見通しで成り行きを見物している上級ダイバーもいます。
お客さんダイバー(確か5人でした)を私の周りに集めました。
そこであらためて水面をみても、風波がかなりあり、透視度も悪く、私のフロートは見当たりません。
水深5mまで上がり、安全停止の3分間、私はある方向にお客さんを誘導しながら泳いでいました。
ドンピシャでした。
ちょうど3分ほど経ったところで、水面に寝ている自分のフロートを発見!
フロートの真下まで来てから、何事もなかったかのように、全員でフロートに浮上し回収しました。
その日はあと1本潜って帰港。
帰路、ドイツ人のお客さんダイバー(その日のお客さんの中では、一番上手い人でした)が、『サインくれ』と言ってログブックを持ってきました。
欧米人ダイバーは、自分でログを書いてから、ガイドにサインを貰うというスタイルの人が多いです。
その時に『あの魚の名前は?』とか、聞かれることもありましたが、ログはどうせ何かいてあるか読めないし、サインだけしていました。
彼が言いました。
(英語が母国語じゃないので、このドイツ人の英語は聞き取りやすかったです。たいていのアメリカ人、イギリス人は相手の英語力に関係なく英語でまくし立てるので、聞き取りにくいし『頭が弱いのか?』と思います。)
『今日のダイブで、ひとつだけ分からない、聞きたいことがあるんだけど・・・』
「なんだい?」
『君はなぜ、フロートのある場所がわかったんだ?』
「俺はこう見えても年だ。あんたが生まれる前から海に入っている。」
『What do you mean by that? (だから?それがどうした?)』
「下から水面を見て、風向きと波の高さと方向をチェック、海中の潮の流れを計算して、フロートの流れる向きと距離を推測して、ただそっちに行っただけだよ。」
『I see. (なるほどね。)』
そのじつ、私は私なりに必死でした。
理由は二つ。
ひとつは、当時私はしがない“日雇いガイド”でした。
カッコよく言えば、“フリーランスのダイビングインストラクター”ですが、夢と現実の差、狭いアパートと1日1.5食?の暮らしでして、商売道具のフロートひとつ買うのも大変でした。
もうひとつは“プロの意地”です。
“日本人の矜持”と言ってもいいですが、日本男児たるもの、白人のダイバーなんかにナメられる訳にはいかないのです。
もし私があそこでフロートを失くしていたら、彼らの夜の酒の席に、新たな《白人優位、アジア人劣等ネタ話》を提供することになります。
『今日の日本人ガイドだけどさぁ~』
『イントラとか日本人とか言ったって、しょせんイエローだからね~』
大袈裟に言えば、それは国辱ものです。
外国でガンバル、全ての日本人に迷惑が掛かります。
なんて偉そうに書いていますが、その時、私は同時に“痛恨のエラー”をしていたのでした。
お客さんを船に上げながら、水面でフロートの空気を抜いて船に投げ込み、左手に巻き付けた細引きをグワッと引き抜き、それも船に投げ込みました。
その時、左手に“イヤ~な感触”がありました。
???????・・・・・・・
ロープと一緒に薬指の“結婚指輪”が抜けちゃったのです。
動作の流れでロープを船に投げ込み、「アレッ」と思い、左手を見て有るべきところに無い指輪に気が付いた時は、すでに遅し。
アンダマン海の海底深く、指輪は消えたのでした。
もともと少し弛めになっていたリングだったので、取れちゃいました。
ゴールドとホワイトゴールドのコンビネーションのそこそこの指輪でしたが、金額より、『結婚指輪を失くした』ことが悔やまれます。
もちろん、船の上ではくやしくて誰にも話しませんでしたが、その夜帰って、奥様Mに申告しました。
予想通り、奥様Mは怒り心頭で、私は折檻されました。
深さ3mで生ジンベイ! [ダイビング]
今朝は、アルコールとニコチンを抜くためのジョギングをしなかったので、海辺に行ったのは6時過ぎ。
日はとっくに昇っていて、空は焼け終わっていましたが、3日ぶりのベタ凪ぎの無風で何となくイイ予感がしました。
それから3時間後。
過酷な?仕事の合間に、ちょいとウチの前を潜ってみました。
もちろんビーチ・エントリー&エキジットです。
最近、ダイビングはユミちゃんにお任せでしたので、私は久しぶりです。
名目は“調査ダイブ”ですが、『息抜き』も兼ねて、海に沈みました。
正面右の深度20m辺りで、新顔の“役者”を探しました。
T2のスロープに向け戻る途中、水深5mで安全停止、そのあと3mの藻場で3~4センチのイワシの稚魚の乱舞に囲まれました。
T2のスロープから、15mほど先です。
ビュービュー動けば面白いし、ビッシリ固まると辺りが薄暗くなって、これまたオツなものです。
3~40センチのシマアジが数匹アタックしています。
藻場に立ち膝付いて、眺めていました。
あと1ヶ月もすれば、このちびっ子どもは10センチ、正月には15センチ、3月には20センチになります。
アンチョビ作るか、煮干にするか、干物でやるか、刺身で喰うかと、私は思いを廻らせていました。
すると突然、私の左肩の上に黒い影が、『ニューッ』と出てきました。
浅いので、そいつはもうぶつかりそうな距離です。
これです。
生ジンベイです。
大きさは5mくらいの、ウチの標準、Mサイズです。
慌てて、調整もせずカメラのシャッターを切りました。
お腹は白いのですが、水面の太陽光でシルエットになりました。
カメラがなかったら、跨って背びれをつかんだ、かもの近距離です。
カメラがあるとダメですね。
追いかけるのも忘れて、私の前でS字を描くジンベイを、撮り続けました。
(お分かりでしょうが、たくさん白く映っているスジはイワシの稚魚です。)
ウチ(T2ゆかり)では、ジンベイ海岸などで見るジンベイを「ジンベイ」と呼び、ウチの前で見られるジンベイを「生(なま)ジンベイ」と称しています。
ジンベイ海岸で餌付けを始めて以来、『生ジンベイ』は少なくなりました。
しかし、今日は水深3mの藻場での遭遇です。
ウチでの最浅記録です。
イワシの稚魚を漁っていたのでしょうが、こんな浅場まで来てしまうと、私としては漁師の網が心配になります。
今は近所の漁師がアジを獲るために、岸の近くの浅場に網が入っています。
そして、3年前には、ウチの前で子供のジンベイが網に掛かって死んだことがありました。
漁師も生活のためですし、だいいち私はよそ者(外人)ですから、網を入れるなとは言えません。
左右両隣りの土地を買い占めて、浜に舟を置けなくしてしまえば漁師はいなくなるのですが、それは恨まれそうですし、先立つオアシが絶対的にありません。
ジンベイには悪いですが、こうして、あくまで人間様中心に地球は回るようです。