スキューバのジンベイウオッチはNGか? [ジンベイザメ]
泳げない方や水が怖い方は、海に入って舟のアウトリガー(外に張り出した太い竹の棒)につかまっているだけで、ジンベイザメが見れます。
水中カメラや防水カメラを水に入れれば、ジンベイの水中写真も思いのまま、お勧めの方法です。
ライフジャケット(無料)は着けた方がいいですね。
シュノーケリングのできる人は、このようにジンベイザメと泳ぐこともできます。
追いかけすぎて、流されないようご注意ください。
流されると、ジンベイザメの居ないエリアに入り、人によっては戻るのに一苦労することがあります。
スキューバでジンベイダイブを楽しむ場合は、エア調節、呼吸、フィンキックなどでホバリングができないと難があります。
ホバリングのできないダイバーは、着底して、水面のジンベイザメのお腹や尾びれを見上げるようになります。首は疲れるし、ジンベイは良く見えないし、たまにジンベイザメが水中を泳いできても、気がつかず、カメラも間に合わず残念・・・てなことになります。
わが町・セブ島[オスロブ]のジンベイザメを見る方法は、3つあります。
①舟の上から見る
②海に浮かんでみる(シュノーケリング)
③タンクを背負って、潜って見る(スキューバダイビング)
それぞれに、長所短所があり、また海況によっても若干ですが適不適があります。
この稿では、③のスキューバでのジンベイウオッチングについて、少しお話させていただきます。
結論から先に申し上げますと、[初心者ダイバーは、スキューバよりシュノーケリング(あるいは海に浮かんでいるだけ)のほうが、ずっとジンベイを良く見れる]です。
理由は・・・・
ジンベイザメは、水深4~7mの浅い海で餌を食べています。
そしてジンベイが、エサを食べているのは水面で、泳いでいるのは水面近くの浅い水中です。
ですのでジンベイザメがもっとも良く見えるのは、舟の上から、もしくは水面からとなります。
フィリピン人の場合・・・泳げない人や『サメ』を怖がる人が多いために・・・半数以上は舟の上から眺めるだけですが、良く見えるという点では、この方法は理に適っています。
水中と違い、空気中では、先のほうのジンベイまではっきり見えますから。
日本人を含めた外国人の場合は、『ジンベイザメと泳ぐ』という願望のようなものがあるせいか、たいていの人は海に入ります。
ライフジャケット(無料)着用が一応のルールですので、泳げない人でもまったく問題はありません。
舟から海に入り、アウトリガー(舟の外側に張り出した太い竹)に掴まって見ていれば、エサを目当てに、次々とジンベイザメが目の前にやってきます―――この方法がベストです。
泳ぎが達者な人は、泳ぎ回ってジンベイザメを見て回るのも、ひとつの楽しみ方です。
ある程度スキンダイブのスキルを持っている人は、ライフジャケットを脱いで、ジンベイザメと張り合う?のも一興です。
ですが、泳ぎ回ったからといって、より沢山のジンベイが・・・とか、よりジックリとジンベイが・・・見れるとは限りません。
むしろ逆のケースのほうが多いように見受けます。
オスロブのジンベイウオッチングは、たくさんのジンベイが餌に誘導されて次々と舟に近づいてきますので泳いだり、追いかける必要は全くありません。
ですので2.3歳の幼児から、70代以上のシニアまで、お楽しみいただけるわけです。
さて、スキューバはどうでしょう。
タンクを背負って水底に着底すれば、水面でエサを食べているジンベイの、お腹や尾びればかりが見えるだけで、見上げる首が疲れてきます。
焦れて中層にあがって、ホバリングができず、意に反し水面に顔を出すダイバーをよく見かけます。
水面に浮いたり水底に沈んだりで、体にも良くないし(“減圧症”のリスク)、水中から突然上がってくるダイバーは、水面の舟やシュノーケラーにとって危険な存在となっています。
ダイバーが頭を蹴られる事もありますし、水面の遊泳者がタンクを蹴って足指を痛めることもあります。
ですので、オスロブとジンベイを愛する地元在住の私共としては、スキューバによるジンベイウオッチングは、スキューバの中級者以上の方を除いて、特にお薦めしてはいません。
スキューバによるジンベイウオッチに必要なスキルは・・・・
・中性浮力がとれる事――呼吸による浮力調整、具体的に言えば、水面下1~2mでホバリングが楽にできる
・現場の小舟を使う以上、水面での器材脱着
以上の二つに、細かいことを言えば、フィンキックで(上向き、下向き、水平向きの3種類を使えて)進めること。
これらは、すべて初心者のCカード(ライセンス)講習でやっているはずです(ちゃんとした講習を受けていればですが)。
ウチでは、2年前からスキューバジンベイは、(控えめに表現して)〈自己器材持参の方のみ〉とさせていただいていますのは、そういう理由からです。
それは解釈のしようによっては、『下手な人はダメ』と受け取られかねない、実に不遜な制限かもしれません。
サービス業に携わる者として、『お客様のご希望に沿わないでどうする!』 『 ナニ様だ!オメーは!』とお叱りを受けるかもしれません。
現によそ様は、まったくの初心者ダイバーや、Cカードさえ持たない人(現場では禁止行為のひとつですが、いちいちカードチェックはされていません)にタンクを背負わせて催行しているケースも見かけます。
(営業的には、差額は入るし、レンタル器材代は入るし、羨ましい限りです。)
しかし、「ジンベイザメをじっくりとよく見たい」「一緒に泳ぎたい」或いは「写真を撮りたい」ということが目的であるならば、先のような方は、タンクを背負わずマスクをつけて水面に浮かんでいたほうが、目的に適(かな)うし、それで充分なのです。
蛇足をひとつ・・・
現場には、自然保護団体“La.Ma.Ve”の多国籍メンバーが毎日、常時3~6人ほどジンベイザメの生態調査で海に入っています。
彼らの仕事のひとつとして、ジンベイ鮫の“固体識別”があります。
ジンベイザメのある部分の画像をデジカメで撮り、PCで本部データベースと照合する作業です。
(ジンベイザメのあの美しい“ジンベイ模様”は、人の指紋と同じで、固体によって皆違うからです、親子でも違います。)
ジンベイザメを調査し観察する彼らを、私は2年以上見ていますが、彼らがタンクを背負って海に入ったところは、私はまだ一度も見ておりません。
常にシュノーケリングです。
(ある程度、スキルをお持ちの方でしたら、使い慣れた自己器材ご持参の事でしょうし、私共ではレンタルで対応して、無理にスキューバにして収益増を計る事は、ちょっと気がすすみません。)
く
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