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ジンベイ鮫が、またウチの前で [ダイビング]

昨日25日の午前中、お客様最終日のダイビングで、T2の庭先ダイビングのリクエストがありました。
まず最近話題?のバカでかい“ニュウドウダテハゼ”ポイントに向かったのですが、そこで私目掛けて、本当にデカイヤツがニュ~ッと向かってきました。


“ジンベイ(鮫)”ってご存知ですよね?
あの世界最大の魚です。




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上は参考画像でいずれも水族館の水槽です。 その生態はまだ完全に解明されていませんが、ひとことで言ってとにかくデカイ!!





最初、遠くのほうに黒いものがボ~っと見えましたので、お客様のひとりかと思い『あんなほうに行っちゃて、まあ~』と頭に要注意(!)マークをつけ、海底のニュウドウダテハゼ探しを続行だ、と思いきや・・・「エッ??!!!」黒い影がほんの0.5秒くらいの間にグッとでかくなり・・・『ありゃ~、ジンベイだ~!』。
頭から真っ直ぐ、私のほうに突っ込んできます。
クチの部分と、その上に背びれがぼんやり見えます。

『てぇ~へんだ、てぇ~ヘンだぁ~』
『お客様に教えなきゃ~』
(近すぎて、ボ~っとしてると、ぶつかりそうなラインです・・・向こうで避けるだろうけど、たぶん。)


指示棒を鳴らして、お客様のほうを向いて、「ジンベイ~!」と叫んだが、誰も気付いてくれない。
ガイドの習性と言うか、自分ひとりでジンベイをじっと観察するなんてできない。
まずハゼ探しなんて私が言ったもんだから、海底見ている方約2名、関係ない方向(?)を見ている方約2名。
ふとまたジンベイに目を戻すと、もうその時には、大きなジンベイのクチが私を通り過ぎ、エラのベロベロがすぐ横に来ています。

すぐ横って、正確には脇の下にジンベイを挟める位置です。
私は、「ジンベ~!、ジンベ~!」と何度も叫び続けました。
何故か『死んでもラッパを放さなかった』日露戦争の英雄の話が頭をよぎりました。
(このせいで、昨夕は少し声がカレ気味でした。)
大きな第一背びれが私に向かって来たときは、つかまって跨りたい欲望に捉われました。
“イルカに乗った少年”――古い!――でなくて、『ジンベイに乗ったオヤジ!』。
でもまだお客様の中でジンベイに気が付いていない人がいるので、グッと我慢します。
嫌がってスピードを上げられたら、見ていない人が出ますからマズイ、(オレって偉い!)。
私が動いて海水を揺らせちゃまずいし。
・・・・そしてOK!です。
全員気がつきました。
皆さんからの『驚きの雰囲気』は、水中でも伝わってきます。

頃やよしです。
小ぶりの第二背びれが横に来たので、わきの下に抱え込んで、チョットだけつかまりました。

(う~ぅ~、かいかぁ~ん)
我慢したおしっこをしたような気分です。

今回のジンベイはあまりに近すぎて、サイズが分かりにくいのですが6メートル前後です。
完全な成魚でもありませんが、子供ではありません。
キズのない綺麗な魚体でした。
ジンベイが過ぎ去ってしばし後、皆の興奮が鎮まりました。
エントリーして、10分も経っていないけど、満足してもう上がろうかと思ってしまいました。



T2のすぐ前は俗に言う『ジンベイの通り道』です。
バンカーボートがジンベイと衝突したり、漁師の網にかかったりします。





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2年前の『ジンベイ事件』。  T2のすぐ前に漁師が張った網にジンベイの子供が掛かり、漁師は売ろうとして逃がさなかったため死亡。 保護されている魚と聞きビビッて網を外したが手遅れでした。 その後、市役所のショベルカーでどこかに運ばれ、埋められたという。 ショベルカーは小ジンベイの重さでパンクした。





しかしダイバーが、ダイビング中にジンベイを目撃するのは大変珍しい事です。
そのため、ジンベイは全ダイバーの憧れの的。

今回のジンベイも南から北に向かっていました。
仮に、日の出から日没までの12時間の間に100匹のジンベイが、T2の前を通ったとします。
ジンベイの泳ぐスピードを3~5ノットとして、T2の前の幅100mぐらいの海を通過するのにまあ1分弱でしょう。
100匹分の総通行時間は2時間もないのです。
そして、100匹といえども、勝手な深度の勝手なコースを通るのです。
しかも、海は広いし陸上と違い透視できる(見える)範囲は、上下前後せいぜい20メートル。
ダイバーが海にいる時間は、3ダイブしてもせいぜい1日に2~3時間。
しかも深度40メートル以上は、普通のダイバーは行かない。
人間後ろに目はないし、マスクは視界が狭く、人によってはすぐ近くを通っても、気が付かない場合も多い。
けっこう長く感じる目撃時間でも、5~8秒です。

何が何だか分かりませんが、つまり、湾内とかにチンピラのようにたむろするジンベイならともかく、『ジンベイ通り』と言われるT2の前といえども、通りすがりの渡世人のようなジンベイをダイバーが目撃するのは、全く稀有な事なのであります。

したがって、私と一緒に潜ったダイバーが、頻繁に(?)ジンベイを拝めるのは、これ一重に私めの人格、徳目、普段の行いの善さ、ボロは着てても心は錦(普段は年中、上半身裸の私ですが)、これに尽きるのではないか、とそのように自賛するものであります。

多少・・・否、かなりですか・・・マユツバではございますが、そこを何卒よしなに、ご理解願います。

さらに突っ込んで真実を言うならば、ジンベイ鮫をダイバーが見る事は“運が良かった”、つまり“幸運”以外のナニモノでもないような気がいたします。

そしてキャツラ=ジンベイにとって、ダイバーの存在なんか―――もちろん認識はしていますが―――眼中に無い事も確かなようです。
今回のように、お互い紙一重の間隔でも、実に堂々と、まるで古武士の風格で悠然と通っていきますから。

そこらの並みのダイバーなら、その威圧感に圧倒されること確実です。

T2のダイビングシーズンは今から12月までですが、私は宣伝文句として、「ジンベイが見れますよ!」とは言いません。

今回、T2から50メートルの海中でジンベイに会えたのも、元はと言えば、お客様のダイビングクラブ主催者のK様が、『最終日、ハウスリーフを1本!』と言ってくれたからであり、その他様々な偶然の糸の絡まりの先に“ジンベイ遭遇”があったと言うことだと思います。
ジンベイは、いくらジンベイが多いと云われるこの海域でも、ガイドが狙って見せられる魚ではありません。
しかし、私としては自分に回ってきたチャンスは、モノにしたいです。
野球に喩えて云えば、自分の守備範囲に来た球は絶対に取ってやる、という矜持(きょうじ)、プライドは持っています。
子供の頃の素潜り遊びから数えて、50有余年です。
そのぐらいの事は云っても、バチは当たらないんじゃないでしょうか。



“海で遊べ!”









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コメント 4

レンジでチン

おっ! 羨ましい~

ジンベイちゃん、日本海側(福井のあたり?)じゃ、ただ「サメ」と呼ばれちゃっていますね。
ジョーズと同じ処遇?
もっと酷いのは、鹿児島で「みずさば」
へえ? さば? 味噌煮にして喰っちゃう?
ジンベイちゃんで有名な美ら海水族館のある沖縄じゃ、やっと処遇改善がなされて「恵比寿鮫」と呼ばれているのですよね。
恵比寿様ですよ~(^Ο^)/
何だかとっても有難いような・・・
きっと、良いことありますね。
あやかりたい あやかりたい

※追伸:
僕の腹は、恵比寿様にも布袋様にも負けない自信があります。←ダメジャン!

by レンジでチン (2011-04-26 11:29) 

yashinoki

レンジでチン 様
コメントありがとうございます。
お詳しいですね~。
知りませんでした。
ただ、エビスザメは、正式名称”エビスザメ”――古代サメの特徴を残した珍しいサメです――というのがいますので、ちょっと紛らわしいいですね。
『ミズサバ』というのは聞いたことがないです。
まあ魚の名前は日本各地、様々ですから。
by yashinoki (2011-04-26 18:52) 

打ち首獄門

T2の前でも出没しましたか!!!!
今回行ったら、是非見てみたいですね。
ジンベイとご対面できる事、楽しみにしています。
お世話になりますので、宜しくお願いします。
by 打ち首獄門 (2011-04-27 09:24) 

yashinoki

打ち首獄門様
コメントありがとうございます。
そうですね、出るといいですが上に書いたように、いくらジンベイ通りでもなかなかダイビングでは見れません。
特に今回のような至近距離では・・・・。
こうしてコメントを書いている今も、前の海をジンベイは通っているのでしょうけど。
1キロほど南の海に魚探を入れておいて電波で飛ばし、ジンベイが通ったら支度して海に入れば、ジンベイを拝む確率は相当上がるでしょうね。
それから耐圧の魚探を携帯して潜れば、ダイビング中ジンベイや大きな魚を探せますが・・・・
ダイバー用の水中無線なんかがあるのに、なんで誰も 『水中魚探』考えないんでしょうね?
マンタやジンベイ探しには、強力な武器だと思うのですがね。

では、しあさってから、よろしくお願い致します。
by yashinoki (2011-04-27 12:07) 

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