SSブログ

“ヌノサラシ”って、ご存知ですか? [ダイビング]



“ヌノサラシ”って魚、知っていますか?
ダイバーでない方は、まず知らないでしょう。
ダイバーでも10人に2人知っているか、いないか・・・かな。


blog477-1.jpg



blog477-2.jpg

これは10センチ程度の若魚の固体です。



この前潜ったカシリスリーフで見つけ、お客様が撮りました。
私はあまり見たことないので、相当レア種かと思い、奥様Mに少々自慢げに写真を見せると『これ、ヌノサラシじゃない。』とあっさりと言われてしまいました。

「ナンダトッ!」と言ってみたところで、あとの句が出てきません。
・・・(なんだ、レアモノじゃなかったのか、クソッ。)
(でも、あまり見ないんだけどな・・・チクショウ。)
・・・・そういやぁ、そんな名前だったような・・・。

考えてみると、私に『のぞき趣味』はありません。
ですので、こういう岩陰に潜んでいるような引っ込み思案な魚には、あまり縁はなかったのでありました。
よくダイバーの中には、ちょっとした岩穴でも覗いてみたり、ライトで中を照らしたり、ナマコやヒトデをひっくり返しては、ナンタラエビだのカンタラガニだのと、鼻くそのような生き物を探す方がいらっしゃいますが、それはそれで趣味嗜好の問題ですから、私は何も言いません。
しかし、私の正体は、何を隠そう50年前からの狩猟採集の原人ですから、食べられないチンコイ屁みたいな魚とか、どう見ても『色ナメクジ』としか思えないウミウシ類なんちゅう生き物には、あまり興味がないのであります。
これは現在の私の職業的には、大きな弱点になりますので、10年程前にそれに気がついてから、そんなふざけた海中生物たちにも、セッセと気を配るようにはしています。
何しろ、今やあちこちの海からデカメの魚が減少しています。
このシノギ、もうマクロや小魚でやって行くしかないのであります。

そこで“ヌノサラシ”
見てください、この歌舞伎役者の一芸のような派手なストライプ、これだけで充分人目を引きます。

調べてみると・・・

〈浅い岩礁域で、岩の隙間などで見られるハタの仲間・・・〉思ったとおりです。
〈刺激により、皮膚の毒腺からグラミスチンという毒液を出す。この粘液は石鹸のように泡立つため、“SOAPFISH”という英名もある。・・・〉やっぱりカブキだ。
毒吹きグレート・カブキ―――ご存じない方ご免なさい―――の魚バージョンであります。

〈アゴハタのように、下あごに1本の皮弁がある・・・〉それは気がつかなかったが、口先が青かったのは気がついたが、そのことは偉い人たちは言及していない。

〈この白線は、成長につれてちぎれて水玉模様に変わる、全長25センチになる。〉


blog477-3.jpg


成魚の写真だそうです。
どこが水玉じゃ~、点線だろ~うが。
この写真がガセでなければ・・・ですが。


〈ヌノサラシはもともとスズキ科とされていたが、その後、体表粘液に含まれる毒をもつグループはヌノサラシ科にまとめられた。さらにその後(西暦2000年)、ヌノサラシ科に含まれていた魚達はヌノサラシ族として、ハタ科ハタ亜目に入れられた。〉
なんか、どこぞの国の政治家のような・・・動物か鳥かのコウモリのような・・・
節度のない分類。
専門家とか学者とか云ったって所詮人間、迷いはあるでしょう。
我々ダイバーは、プロもアマも、分類などにはあまり関わらず、水中世界にお邪魔して『ただひたすら魚を愛でる』そういうスタンスでいいんじゃないかと思います。
難しいことは何も要りません。

〈生け簀や水槽に入れると他の小魚が死んだりするが、毒は人に害が及ぶほど強い毒ではない。食べられるが、食べてもあまりおいしくない。〉
群れている魚じゃないし、やはり食用表記はムリでしょう。
しかし、ここはフィリピン、そのうち点線になった25センチの成魚を食べる機会があるかもしれません。

だいたい以上がネット上のヌノサラシ情報です。
これでいいわきゃ・・・ありませんよね。
肝心のことが、わからないのですから。
つまり、みょうちくりんな命名の由来です。
いつ頃、誰が、何故、この魚に“ヌノサラシ”という変わった名前を付けたか?と言うことです。
違いますか?

“ヌノサラシ”というのを日本語として考えると―――和名ですから日本語であるべきなのですが―――“布”を“晒す”???となると余計意味不明です。
魚の英語名は、見た目や生態から簡単に付けられる事が多いです。
だいたいアメリカ人なんてのは、そもそも魚をあまり食べませんから、魚に対する愛情や興味そのものが大してないのでしょう。
そこへいくと和名は違います。
日本は侘び寂び(わびさび)の国であり、義理人情の民族であります。
(今はどうか、よく知りませんが。)
八百万(やおよろず)の神の国です。
魚は海の神様からの賜りものです。
魚の名前ひとつにしても、そこに風情があります。
文化があります。

例を挙げれば、
オイランヨウジ・フウライウオ・タツノオトシゴ・ネンブツダイ・カイワリ・ヒメフエダイ・オシャレコショウダイ・チョウチョコショウダイ・タマガシラ・オジサン・ヨメヒメジ・ツバメウオ・ゲンロクダイ・ニシキヤッコ・チリメンヤッコ・メガネゴンベ・オトメベラ・ヤシャベラ・ハゲブダイ・ネジリンボウ・オドリハゼ・ミヤコテングハギ・クロモンツキ・ムスメハギ・ムラサメモンガラ・キタマクラ・ウミスズメ・・・・キリがありません。

さて“ヌノサラシ”の由来です。
私が想像するに、〈ヌノ〉は、織物の布でなく布石(ぬのいし)ではないでしょうか。
布石とは、布敷石、つまり家の縁側とか土台の下に敷く石です。
おそらく、魚の分布からして、そこは西日本の太平洋岸、紀伊や四国の南岸でしょう。
おやじ様が釣りから帰り、どっこらしょと様々な魚の入った魚篭(びく)を庭先に置く。
獲物を神棚用、進物や売り歩き用、家の惣菜用などにザルに選別している。
そこに一匹、変わった柄の妙な魚。
これは食べてもまずいと、おやじは経験で知っている。
そこで、必要ないので、おやじはそいつを布石(ぬのいし)にうっちゃって晒(さら)す。
息子が聞く。
「おっと~ぉ、ありゃ~くわんのけ~ぇ?」
おやじ、答えて曰く、
「あいつぁ~まずい、くえん、ぬのにさらしとけ~」
布石(布敷石)に晒したから、“ヌノサラシ”
あくまで私の想像です。

かたや、英語(名)です。
夢もなんもないです。
ヌルヌルが出て、石鹸のように泡が立つから“SOAPFISH”だと。
全くつまらないですな、お里が知れますよ。
魚名は、かくも(?)日本の文化の一端です。


ついでに言わせて貰えば、数年前に専門家と言われる人達は“イザリウオ”という名前を抹消して、“カエルアンコウ”に改名いたしました。
新しい図鑑は名前が変わり、ダイビングの現場では大方が改名に従いました。
私に言わせればクソッタレ!です。
人に対し『躄、膝行=いざり』といえば差別用語かもしれませんが、杓子定規に魚の名前に『イザリ』がはいっているから改名するというのは、単細胞すぎやしませんか?
あまりに事なかれ主義、過剰反応じゃないですか?
四択試験で育ったとか、何事もマニュアル(手引書)で処理したがる種類の人間の浅はかさです。
だいいち本人達の許可を取った?本人達が納得したのでしょうか?
魚が話せたら、たぶん「余計なお世話だ、バ~カ」とか、「いい迷惑です!」と言うでしょう。



blog477-4.jpg

オレンジ色のオオモンイザリウオ。
先般、T2の横の“カシリスリーフ”にて撮影。


私は、へそ曲がりのろくでなしダイバーですから、今でも現場では『イザリウオ』で通していると思います。
『いると思います』―――というのはほとんど意識していないからです。
だいたい何十年も「イザリウオ」と云ってきたのを、急に「カエルアンコウ」なんて、尻軽女じゃあるまいし、変えられるわけゃないじゃないですか。
義理人情もヘッタクレもありません。
そんなに「イザリウオ」という名が気に入らないなら、私が私のようなへそ曲がりを代表して、いずれ墓に持って行きましょう。
以上、蛇足でした。





nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0

また始まっちゃった今季初アミハン ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。