君死にたまふことなかれ―電気で [移住]
お題の与謝野晶子ではありませんが、フィリピンでは感電死する人が―――日本人の感覚からすると―――とても多いです。
このブログで、シリーズにしている〈フィリピン3面記事〉でも、けっこう頻繁に感電死事故が出てきますね。
10年くらい前に、私自身が目撃した例では・・・・
邪魔な枝を切るか何かの理由で、木に登った人が近所の男が、誤って電線を握って感電死。
その屍(かばね)は、ほぼ一昼夜木にぶら下がったままでした。
家族でさえ、なかなか降ろせません。
登ったあげく、電線や遺体に触って、自分も感電死するのが恐いからです。
この時はプロにお金を払って、降ろして貰ったようです(万事、カネ次第の比国です)。
フィリピンの電線は、節操なく、街路樹の間を縫うように、ムチャクチャに張り巡らされますので、木に登って感電することは、そんなに珍しくはありません。
またよくある事として、盗電(=電気を、電柱や人の家の配線から勝手に引く=盗むこと)作業中の、感電死があります。
罪の対価としての罰ならば、重過ぎますね。
また家庭内で、配線工事やらの際に感電死することもあります。
これは、何ら知識のない素人が、配線・配電作業、修理などをするからです。
かく申す私も、配線工事や修理はしますので、何度か感電しています。
しかし、悪運が強いせいか、ブレーカーのせいか(クラブハウスだけで、夫々の回路の必要電力に応じた、容量の違うブレーカーを12個かましてあります)、私が感電に多少慣れているので≪瞬間の感電≫で済ませられるせいか、まだ死んだことはありません。
それでも220Vの威力です。
感電すると、5分ほどは肩口まで痺れて、何も握れませんし、気分も悪くなります。(サンミゲルビール3~4本で治ります。)
これが、そこらのボロ家ですと、ブレーカーを使っていないデタラメ配線や電柱から直結の家もあり、〈感電=死〉となる確率が高いのです。
また感電ではないですが、配線の電線の種類と太さをケチって(見えない部分でしかも素人には分からない事柄ですので、業者に任すと必ずと言っていいくらいする手抜きです)、漏電&火災が多いです。
それから、私の知り合いのフィリピン人の弟が、ホットシャワーを修理していて感電し入院したことがありました。
フィリピンは基本〈水シャワー〉なのですが、日本人をはじめ外国人には水シャワーが苦手な人がいます。
そのため、シャワーに電気ヒーターをかまして湯を出す製品があります。
このヒーターが、南国特有の水質のせいでよく故障します。
このヒーターの修理作業は、周りや足元が濡れている事が多く、結構危険なのです。
電源を落として、器具を取り外してやるのが基本ですが、そうすると故障箇所が分かりにくくなるので、危ないと知りつつ、電源入れっぱなしで、その場ででやることがあります。
また特徴的に多いのが、中国製の劣悪家電による感電死です。
ウチで最近あった一例(火花が飛んだので、気がついた)を挙げます。
スタッフが『電気釜が壊れた』と言うので、チェックすると・・・・
コンセントと電気釜を繋ぐケーブル(アダプター)の釜側の近くが断線して、焦げた跡がありました。
焦げていたのは、上の画像の黒色の皮膜のほうの線です。
火を噴く可能性もあるし、露出部に触れば感電します。
何故こんな風になるかと言えば、コードの品質が悪いからです。
ソケットのすぐ近くですから、ビニール皮膜は一応3層になっていましたが、材質が劣悪でひびが入りやすい。
おまけに中の電線が問題ありです。
画像でも分かりますが、とても細いのです。
せいぜい40Wの電球ならともかく、電気釜ですから少なくとも600~800Wは消費します。
もっと太い線でなければ、焼き切れるのは目に見えています。
こういう部分の危険な手抜きは、バラさなければ分かりませんので、タチが悪いです。
消費者の事より利益優先、いかにもMade inChina =中国のモノ作り、です。
家電では、電気アイロン、ヘアードライヤーも同様の危険な手抜きが、多く見受けられます。
(同じ中国製でも日本に行く製品は、日本サイドの適度の品質管理と検品でまだ安全です。後進国に流れる中国家電が危険なのです。)
蛇足ですが、ウチではこの種の家電は私が直して、元を取るまで使い切ります。
先の電気釜も修理して、現在も稼働中です。
また、言わずもがなの事ですが、普通の短期旅行者は、上のような災禍に巻き込まれる確率は、限りなく少ないのでご安心ください。
長期滞在者、そして、『日本じゃ暮らせないから、物価の安い比国で』などと、20年前ならともかく、今じゃ見当違いの、≪ノー天気な理由≫で、移住を試みる人たちは要注意です。
人間的?文明的?な暮らしをしようと思えば、今は日本よりコストは掛かるし、後進国ならではの様々なリスクを背負います・・・・これが現実だと思います。
それと短期旅行者でも、『移動は乗り合いバスで、宿泊はゲストハウス』なんていう方は、お気をつけ下さい。
これらの皆様は、≪何が起きても自己責任≫と言う覚悟が必要だと私は思います。
コメント 0