チンクイムシ [ダイビング]
海で遊んでいると、チンクイムシに喰われることがある。
太股、首、手足の内側、お腹など、皮膚の薄い部分が標的になる。
「喰われる」というか「刺される」というか、チクチクしてやがて痒(かゆ)くなり、赤い湿疹となる。
たまらずに掻きまくると、グジュグジュしてきてこじらせ、治りが遅くなる。
海パンの中まで喰われることがあるので、昔から「チンクイムシ」の異名をとっている。
海でチンクイにハデにやられた暴れん坊・次男のお腹(これはもう治りかけの写真で、痒みは無いです。)
[チンクイムシ]の正体は、エビやカニなどの幼生(ゾエア)です。
大きさは、数ミリも無いような半透明な生物(プランクトン)です。
(参考画像:ゾエアの一例、顕微鏡写真)
日本では海水浴でお馴染みのチンクイムシですが、フィリピンでも、海水温が30~31度くらいまで上がる今の時期は、チンクイムシの季節です。
お客様で、たまにチンクイにやられてしまう人がいます。
「なに~これ~」
「いた~、かゆ~い」
「クラゲに刺された~」
「やだ~、どうしよう~」
なんて感じになり、真水で洗い、酢などふりかけたり、痒み止めのムヒαEXとか塗ったり、抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗れば、早めに治るのですが・・・
ところが、相手が妙齢の女性とかだったりすると・・・
「これはクラゲじゃなく、チンクイです」
とは、純情可憐で、分別あるトロピカル・ダンディな私としては、言いにくいんです。
なんつったって、『チン・クイ・ムシ』・・・お下品ですからね。
それでもこの仕事を始めて5.6年は、まじめに、クラゲの刺胞にやられたのと、チンクイに喰われた違いを、お客さんにダラダラと説明していました。
ですが最近は、お客さんが『クラゲだ』と思っているのをわざわざ否定して、説明しても、痒みや湿疹が無くなるわけでもないので、(クラゲでもイイヤみたいな)ちょっと怠慢していたのであります。
ところが先日、“目からウロコ”でした。
ゴールデンウィーク、いつもお世話になっているダイブショップのツアー7名様が来て頂きまして、そのメンバーの内のご夫妻が2人共にお医者様でした。
で、ダイブショップオーナーのH様が、運悪く、首の周りをたっぷりとチンクイにやられました。
最終日、打ち上げの夕食時、その話になりました。
その時、奥様のほうのドクターが・・・
『プランクトン皮膚炎です。』
とキッパリと、職業的にカッコよく言い放ったのです。
私は何て素晴らしい、便利な言葉、さすがお医者様と心中ひそかに感動しました。
これから私も遠慮なく、使わせていただきます。
“プランクトン皮膚炎です”
還暦過ぎのオヤジとしては、ひと様に“チンクイ”なんて言えませんから。
(日本もこれから海の季節、海水浴といえばチンクイです、ご注意ください。)
コメント 0