エンボイ、ごめん [パノラマルーム]
わが町オスロブの“フィエスタ=お祭り”のため、金曜から日曜までパノラマルームの現場はお休みです。
さて、エンボイごめん、と、とりあえず書いておこう。
http://t2mary.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28
10日前の記事(↑)では、「エンボイが元に戻ってしまった」と書いたが、どうやら『ちょっと忘れていた?』だけだったようだ。
私の早とちりか。
やはり、エンボイはエンボイだった。
頑固者だ。
パノラマルームの柱の鉄筋組。
フィリピンの委託工事の手抜きは、日本のそれの比ではない。
在比の方はご存知のように“バレなければ、何をやってもいい”という常識?が民度の低い国にはあります。
建築士や現場任せにせず、ちゃんと見張っていないと、この半分の鉄筋も入らない。
ブロック塀に、鉄筋代わりに竹の棒が入っているのを見たこともある。
だから私は、委託工事にはしないで、ウチで職人を雇い、日給を払い手間賃仕事として工事を進めている。
すると彼らには手抜きをする理由がなくなる。
また、私は現場をしている時は、30分おきとか、ほぼ付きっ切りで監督し指示を出している。
それを怠ってしまって、イヤな目にあった経験が何回もあるからだ。
したがって、月に2度とかセブ市に資材をかき集めに行くときは、現場も休みにしてしまう。
上の話は、日本の方には多少の驚きかもしれないが、この国ではだいたい常識です。
話が逸れました。
柱の基礎はもうコンクリートの中に埋まっています。
木と合板で型枠を作り、コンクリを練って流し込む。
地面を深さ2m掘り(床のレベルからなら2.8m)下に石を入れ捨てコンして、鉄筋で組んだベースを入れ柱を建てる。
柱と柱は地中梁で繋ぐ。
ほとんど地震のないセブでは稀な頑丈さだ。
竣工までには、4~500袋のセメント、約3トンの鉄筋を使うことになるだろう。
わずか120㎡の2階建てで、しかも片面の柱と壁はすでにある、増築なのに・・・・
当然他にもジャリ、砂、ブロック、材木・・・
費用の事を云えば、建物の大まかな形が見えたあとには、トラスと屋根、給排水のパイプ類、電線、配線器具、ペンキ、ドア、窓、トイレ、洗面、シャワーなど水周りの機器、家具、ベッド&マット、照明・・・etc・・・etc。
設計し、資材を探し手配し、建築費をやりくりする奥様Mと私は、毎晩頭がキリキリ痛むが、完成しお客様をお迎えしたときの喜びと開放感を想像して、それまでは我慢、我慢です。
また、話が逸れてしまった。
エンボイは、私の云うことは聞くが、意見が食い違うとき・・・・それは私が“手抜き”とまでは言わないが、材料の経費を節約しようとして「ここの材料は、これでいいんじゃない」とか「ここまでしなくて、いいよ」みたいな事をいった時、頑として引かない。
そういう場合は、だいたい彼のほうが正しいので、私もそんなに強くは言えない。
施主として、“命令”することは可能だが、エンボイの『ちゃんとした建物を作りたい』という気持ち=職人気質が、内容はどうあれ、軍鶏(シャモ)のような目からヒシヒシと伝わってくるので、それができないのだ。
過去の衝突をひも解けば、
クラブハウス2階のスラブに、多くの鉄筋と分厚いセメントをつぎ込んだとき・・・
『これなら車が走っても大丈夫だ。』と言い放った。
どこの家の2階を車が走るんだ!
海沿いのストーンテーブルを作ったとき・・・・
「これでヘリコプターが降りても壊れない」と満足した。
1.4m×3.4mのテーブルに降りられるヘリはない!
ウチでしている工法は、日本なら50年前のそれだろうし、日本人の職人と較べれば、数段落ちる知識と技術である事は間違いないが、一所懸命やるので好感が持てる。
エンボイのような職人は、フィリピンでは得がたい人材のひとり、かもしれない。
しかし言っておくが、建築士契約のコントラクト(契約工事)で働くときは、手抜き常識なので、エンボイの主張は通らないはずだ。
彼が彼らしく働けるのは、ウチの現場くらいなのだ。
そのせいか、どうも此処のところ、でかい現場には出ていないらしい。
隣り近所の、小さい増改築工事で暮らしているという。
エンボイ、ウチはいいだろ、好きなようにできて。
たまには、ありがたいと思えよ。
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