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船は沈むものだから [自然]

知床の遊覧船、まったく悲惨な事故が起こりました。



原因究明はこれからの話ですが、本日現在までの報道によれば、残酷な『人災』のようですね。

お亡くなりになった方々は怖い思いをしたでしょう。

ご家族方も辛いでしょう。

お悔やみ申し上げます。




ツアー自体に無理がありますね(今までの報道によれば)。



小さい頃から海で遊び、その後海仕事で20年、海に関わり60年ほどの経験上から書かせていただきます。




飛行機は落ちるもの、車は衝突するもの、船は沈むもの、です。


ですから、飛行機は落とさないように、車は衝突させないように、船は沈ませないように努力するのが、最低限の義務です。


通常、知床の様に細長く尖った半島部は、流れが強いことが多いし、複雑です。

風・波があれば尚更となります。

岸によれば、危険な隠れ根もあります。

例えば、風向きと潮流の向きと波の方向が、それぞれ違うという海況も何度かありました。


今頃の知床の海水温は5度以下だそうですから、水泳選手でも、海に落ちれば数分で低体温、意識不明になるでしょう。


また、足が付かない海の深さに恐怖感のある人なら、瞬間的にパニックになり死に至ることもあります。





(報道による)当日の気象&海況情報が正しければ、私なら絶対に船は出しません。


救命胴衣(ライフジャケット)は無力ですし、救命いかだがあったとしても、当日の条件では乗り込むのは至難の技だと思います。





昔のエピソードをひとつ・・・・・


あるダイビングリゾートで、私がマネージャーをしていた頃です。


毎朝、船を各ダイブサイトに送り出します。


多い日は、10数隻の船を出すこともありました。

船をチャーターし、お客様とガイドを各ダイブサイトに割り当て、全船出港すると、私的にはホッとしてグッタリです。


あとはダイビング講習をしたり、デスクワークをしたりと、マイペースに過ごします。




ところが、オーナー(←日本人です)は違います。


全ての舟が無事に帰って来て、やっと安心するようでした。


かなり前で、携帯電波もなく無線もない、東南アジアの田舎の村です。


船も、『近代的』な設備はありません。



帰船が遅れている船があれば、彼は私に『だいじょうぶかな~?』 『どう思う?』と話題を振ってきました。

私は、「大丈夫ですよ。ちょっと遅れているだけじゃないですか」と答えます。


彼は『念の為』、別の船をチャーターして、空船で出しました。


(↑は私に相談する前から彼が決めていた事なのです)


万一の捜索&曳航用、レスキュー船です。


そんなことが結構ありました。

(経理も任されていた私としては・・・「また余分な経費が・・」)


結局、いつも何事もなく全ての船が帰って来ました。


悪く言えば、オーナーは『小心』かも知れません。


が、オーナーは元ヨット部で、旧職は某有名レジャーボート会社の営業です。


海の怖さを、人一倍知っている人物でした。




そしてそれから数年、私自身が曲がりなりにも”オーナー”と云われる立場になりました。


・・・・ナンてことはありません、私は前記のオーナーと同じことをしていました。


少しでも帰りが遅いと「大丈夫かな~」 「船が故障したかな~」 「何かあったのかな~」


心配のタネは尽きず、船が戻るまでは、気になってどうしても落ち着かないのです。




運が良かったせいでしょうが、私は20年間無事故で海仕事を終えました。



海は、絶対にナメたら駄目です。


そして、経験値を積み重ねることだと思います。


仕事も様々ですが、人の命を預かる仕事には、それなりの責任を伴います。


万一の場合の、”覚悟”が必要だと思います。



思うに、私にとっては、海はとても楽しく、海はとても恐ろしい・・・”神様”のような存在です。







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